「ラ・カンパネラ」(1)

イタリア語の原名で世界中の人々に愛されている曲で、正式には

【リスト パガニーニによる大練習曲 第3番 嬰ト短調「ラ・カンパネラ」(鐘)】です。

ピアノという楽器の特色を生かし、音色の輝かしさ、華麗さによって他に類を見ない不滅の名曲となっている

…と言われていますが、美しく弾くのはたいへん難しい曲です。

19世紀中ごろパリの社交界で絶大な人気があったリストは、今でいう「アイドルスター」だったようです。

容姿端麗、情熱的ですばらしい演奏技術でもってピアノを弾くリストに「キャーキャー!」と声援を送り、失神する女性がいたと伝えられているほどです。

 

ピアノの魔術師リストの曲は、その華麗さや難しさから学習者のあこがれではないでしょうか。リストが弾けるようになったとき(先生が宿題としてリストの曲を下さったとき)の嬉しさは今も覚えています。華があってカッコイイ。

コロナの時期にこの曲を少しずつ弾き始めました。もう4年も前になるかと思います。

きっかけは、佐賀のノリ漁師の方が弾いておられたのを見たことです。楽譜は読めないけれど、ものすごく練習されたと聞いて感激しました。ついでに私もひょっとしたら弾けるかも…などと思ってしまったのでした。

しかし、1曲だけを1日に何時間も練習するという集中力も体力もなく(年のせい)、ノロノロした歩みでした。

 

そんな中、臨時で赴任した中学校で授業が終わった後ある女子生徒が「先生、カンパネラ弾けますか?」とやって来ました。「ちょっとならね」と、最初のところを弾くと、その子は「感動した!」と言って涙をこぼしました。

いやいや感動したのは私の方でした。この曲の持つ魔力というか、やっぱりこの曲には不思議な力があるんだなと

改めて心動かされました。それからちょっと本気モードの練習に切り替わりました。『(2)に続く』